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石原純著、岡本一平画、「アインシュタイン講演録」東京図書(1971刊、これは1923年に改造社から出版されたものの再版)のp78〜88より引用
 本稿の京都大学講演は、相対性理論を作り上げた歴史的経過を語っており、引用文献として有名です。
 相対性理論は常識とはあまりにもかけ離れていたので、多くの人々がアインシュタインに、この理論をいかにして発見したのか質問し、発見の経過を話してくれるように懇請した。それに対して彼はいつも誠実に対応して真摯に答えた。このことに関してはPais著「神は老獪にして・・・」6章も参照されたし。
 この講演もそうしたものの一つです。しかし、そういった時にしばしば述懐(この講演でもp79の★印)しているように、それに答えることは彼自身にとって容易ではありませんでした。
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82  下記“この光速度不変はすでに私たちが力学で知っている速度合成の法則と相容れません。”についてはこちらを参照

83   上記の友人(ミケーレ・ベッソー)についてはこちらを参照されたし。

 上記赤波線の部分は“一つの慣性系の違った場所にある時計は光りの信号を用いて合わせるしか方法はない。そのため慣性系ごとに時間の同時性というのは異なったものになる。”ということを示している。《このことに気付くことがすべての鍵だった》のです。このことについては別稿「ローレンツ変換とは何か」3.(2)[補足説明2]で説明していますのでご覧下さい。また、別稿「マイケルソン・モーリーの実験の特殊相対性理論による説明」3.(4)まとめ もご覧下さい。

84  下記《放射学及び電子学年報》の“特殊相対性理論の諸結論”についてはこちらを参照。とくに第X章を参照されたし。この第X章は別稿で詳しく取り上げていますのでそちらをご覧頂く方が良いかも知れません。

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86   この述懐から推察できるのですが、Einsteinは重力の問題は時空の歪みと深く関係することを早くから認識していたようですね。

[補足説明]
 上記の“ガウスの表面座標を本当に意味深いもの”については、別稿「基底ベクトル・双対基底ベクトルと反変成分・共変成分(計量テンソルとは何か、クリストッフェル記号とは何か)」4.(2)を参照されたし。

[補足説明]
 上記の“曲線素の不変によって自分の見出そうとする係数が完全に決定されるか”について補足します。別稿「微分幾何学」3.(2)2.[補足説明3]で説明したように、リーマン幾何学とは線素を表す2次微分形式の不変式論として空間の性質を論じるものです。だから、“曲線素の不変によって”とは“リーマン幾何学によって”の意味です。
 また“自分の見出そうとする係数”とは、時空の曲がり具合表す“計量テンソルgijの成分”のことです。別稿グラスゴー講演で[補足説明]したように計量テンソルの変化がクリストッフェル記号を決め、クリストッフェル記号がリーマン空間の曲率テンソルを決めます。
 そして、この時点のアインシュタインは“時空の曲がり(曲率テンソル)が重力場に関係付けられるだろうという予想”をすでに持っていましたから、上記の文章の意味は“曲率テンソルを知ることによって計量テンソルの成分が決定できるかどうかを相談した”と言うことです。
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 Einsteinは、正しい重力場の方程式を発見(1915年11月25日発表)する直前の2週間の悪戦苦闘の様子を、発表の三日後のSommerfeld宛書簡(1915年11月28日付)に書き残しています。これはとても有名な書簡ですが、その内容は極めて難解です。難解ですが、とても興味深い内容です。

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