ファインマンはここで展開した理論の起源に関して何も述べていませんが、これらの考察はローレンツに由来する。歴史的な説明はH.A.Lorentz著書“Attempt
of a Theory of Electrical and Optical Phenomena in Moving Bodies”(1895年刊 ネットから無料download可)や“The
Theory of Electrons and Its Application to the Phenomena of Light and Radiant
Heat”(1906年刊、2nd edition 1916刊)[訳本 ローレンツ著「物理科学の古典6 電子論」東海大学出版会(1973年刊)]などをご覧下さい。より現代的な説明は、パノフスキー、フィリップス著「電磁気学(上)(下)第2版」吉岡書店(1967年刊)第9章などをご覧下さい。
以下ファインマンの議論をフィゾーの実験の随伴係数へ適用するには、一次波に重ね合わされるべき二次波を発生する物体原子(原子核+電子)が動いている事に着目する必要があります。ローレンツやパノフスキー・フィリップスの説明もそこの所に注意すれば理解できます。
[補足説明]
(6.13)式の解が(6.16)式である事は,別稿「調和振動子(自由振動、強制振動、減衰振動、強制減衰振動)」3.などを復習されて下さい。ここでは複素数表示を用いていますが、同じ事です。
上記の第5章の終わりで求めた(5.18)式と(5.19)式はこちらを参照。
この当たりに付いては第W巻の§11-3を参照する必要があります。
ここの説明は解りにくいところです。別稿「慣性重力波とロスビー波、そして赤道波」5.(4)3.で示したアニメーション画像などをご覧になると理解しやすいかも知れません。上記の第23章§3、あるいはA.Sommerfeld第U巻§26 などを参照して下さい。
上記の事柄に付いては別稿「調和振動子(自由振動、強制振動、減衰振動、強制減衰振動)」3.などを復習されて下さい。また、この当たりに付いては、例えば A.Sommerfeldの第W巻§22 などを参照して下さい。
上記の事に付いては第T巻§23を見て頂く事にして、当HP内のページとしては別稿「調和振動子(自由振動、強制振動、減衰振動、強制減衰振動)」5.などを復習されて下さい。
[補足説明]
図6-5 で角振動数ωの増大と共に屈折率nが減少する部分を“異常分散”と言うが、この現象を最初に発見したのはコペンハーゲン大学のクリスチャン・クリスチャンセンです。彼は薄いガラス板で三角形状に囲った中に有機化合物のフクシン溶液を満たしたプリズムを使って発見した。( C.
Christiansen,Ann. der Phys.,141, p479, 1870年; 143, p250, 1871年)
その直ぐ後で、
ゼルマイヤー ( W. Sellmeyer,Ann. der Phys.,143, p272, 1871年)
ヘルムホルツ ( H. Helmholtz,Ann. der Phys.,154, p582, 1875年,esp.p591,p595)
が、この現象の説明を行った。
A.Pais著「ニールス・ボーアの時代」p123の記述を転記。
このことは第4章§2でした。
上記の(5.19)式はこちらを参照。
すなわち 比例定数α は 真空の誘電率×光速度=ε0×c に関係する。
[補足説明]
上記の説明はなんだかごまかされたような気がしますが、(6.28)式の導き方として、ここの議論は面白い。
ファインマンは、ファインマン物理 第W巻 第6章 “場のエネルギーと運動量”でここの議論をもう少し精密・正確に展開しています。その内用は別稿「電磁場のエネルギー密度とポインティングベクトル」2.(2)〜(3)で引用していますので是非参照されて下さい。
本5.節での導き方も上記のファィンマン別稿の導き方も、もともとPointingが当初ポインティングベクトルなる電磁場のエネルギー流ベクトルを見つける為に用いた方法であり、利用した考え方です。
(6.28)式そのものに付いては、別稿「電磁場のエネルギー密度とポインティングベクトル(1884年)」2.(5)例1.を、あるいは別稿「線型振動子(電気双極子)による電磁波の放出」2.(3)などもご覧下さい。
上記の事柄を述べた前章の記述とはこちらを参照。