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周転円は楕円であり、その焦点が誘導円(これも楕円)上を動く

 これは別稿に記した読者からのご質問に対する返事として記したものです。

○○ 様
 ご返事ありがとうございます。このたびの御説明で、○○さんがお知りになりたいことが解りました。なさりたい事は解ったのですが、地球から見た惑星の運動の様子から

このepicycleの軌道上において、該当する天体が、
apogee→perigeeの間を運行しているのか、
perigee→apogee の間を運行しているのかを確認する方法

を見つけるのは非常に難しいと思います。私ならば以下のように考えます。

(1)
 現在太陽を中心とする各惑星の楕円軌道の基本的なパラメーターは知られていますから、太陽を楕円軌道の焦点として、各惑星の楕円軌道を同一紙面上に同じ縮尺で描いてみる。

(2)
 その図(コペルニクス宇宙)から
   http://fnorio.com/0015Classical_Astronomy1/Classical_Astronomy.htm#3-1-3
で説明する方法を逆にたどって、プトレマイオス宇宙の天体図を描く。

 
 もちろん、上図は楕円軌道ではなくて円で近似して描いていますから、それぞれの惑星の楕円軌道を描きます。また地球も正確な楕円軌道にします。
 そしてプトレマイオス宇宙の“誘導円”外惑星の場合は、各惑星の楕円軌道を縮小あるいは拡大する。内惑星の場合は地球軌道を縮小したものになります。

(3)
 プトレマイオス宇宙の外惑星“周転円”とはまさに地球の楕円軌道を拡大あるいは縮小したものですから、周転円も楕円(地球の楕円軌道を縮小あるいは拡大したもの)にする。
 もちろん内惑星についての“周転円”は太陽を中心とした内惑星の楕円軌道そのもの(あるいはそれを縮小したもの)です。

(4)
 “誘導円”上の周転円中心(楕円の焦点)の移動は、外惑星の場合上記の手順で求めた各惑星の楕円軌道を縮小あるいは拡大したものの上を実際の惑星の運行に同期させて動かす。
 内惑星の場合は上記の手順で求めた地球の楕円軌道(縮小している)上を太陽の周りを回る地球の動きに同期させて動かす。

(5)
 “周転円”上の外惑星の位置は、もちろん地球から見た太陽の方向に同期させて動かします。内惑星については内惑星の公転移動に同期させて回転させます。

(6)
 以上の様にして描いたプトレマイオス宇宙図上で各惑星を地球から見れば、地球時間の何月何日〜何月何日に“周転円”の遠地点→近地点、近地点→遠地点を運行しているかは一目瞭然となるでしょう。この様に考えれば

  外惑星“周転円”上の遠地点→近地点移動期間は、太陽のまわりを楕円軌道を描いて回る地球の遠地点→近地点移動期間と一致する。同様に“周転円”上の近地点→遠地点移動期間は、太陽のまわりを楕円軌道を描いて回る地球の近地点→遠地点移動期間と一致する事になります。

 一方、内惑星の場合は、内惑星の軌道上で内惑星自身がその楕円軌道上の遠地点→近地点、あるいは近地点→遠地点を運行している期間となります。

 以上の様に考えれば○○さんがお知りになりたい情報が得られると思います。○○さんのご質問とは少しはずれたご返事になったかもしれませんが、とりあえず私どもならこう考えるという事を記しました。

[補足説明1]
 ケプラーの世界からプトレマイオスの世界へ変換する図において、そのとき利用する数学的手順を考えられれば明らかな様に、誘導円上の周転円は宇宙空間に対してその近点−遠点を結ぶ方向を回転させることはなく、誘導円上を動いていくと考えて良い。
 なぜなら、外惑星の場合の“周転円”となる地球軌道に於いて、地球が太陽の周りを回る公転軌道の近日点は、惑星が周回する程度の年月では極僅かしか移動しせんので。また、内惑星の場合の“周転円”となる内惑星公転軌道の近日点移動も極めてゆっくりしたものですから。

[補足説明2]
 太陽系の各惑星の軌道図や軌道パラメーターなどは天文ソフトmitakaなどから手にはいるのではないかと思います。このソフトはフリーソフトですので以下のURL
   http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/
からダウンロードできます。 

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