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虹の理論 

1.簡単な説明

 水滴球に入った太陽光線は屈折と反射を繰り返して元来た方向へ反射される。図1の入射光の内4、5、6の位置に入射した太陽光線は揃ってほぽ同じ方向に反射される。そのため太陽光の光軸に対して42°の方向へ強い反射が生じる。それを我々が見ると図2の様な関係になり虹が見える。虹は夕方や明け方の太陽高度が比較的低い雨上がりの空に見られる事を思い出して欲しい。しかも太陽と反対側の空に見られる。

 虹が色づいて見えるのは波長により屈折率がわずかに異なり、赤色よりも青色の光線の方がより強く屈折されるためである。青色は42°よりも少し小さめの角度に、赤色は42°よりも少し大きめの角度に強く反射される。
 図1から解るように、もう一度反射させると太陽光線の光軸にたいして51°の方向にも角度が揃った反射が生じる。そのため第二の虹が図2CDに示す位置に生じる。この虹はより強く屈折される青色は51°より少し外側に、赤色は51°より少し内側に見られる。(図はニュートン著「光学」より引用。少し改変しています。)

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2.数式による説明

 水滴球に対する太陽光線の入射角iを0°から90°まで連続的に増やしてみて、RとRの方向への反射角θとθがどの様に変化するか計算してみる。下図を検討するとそれぞれが入射角iの逆三角関数で表されることが解る。入射角iの増大とともに、反射角θは0°から増大、反射角θは180°から減少していく。そのため内側の虹と外側の虹では七色に輝く順番が逆になる。

 θとθのグラフが図4である。グラフが極値をとるθ=42°とθ=51°の方向により多くの光が反射されるため、その方向に虹が見える。このときθ<42°の領域とθ>51°の領域には反射光が存在するが42°<θ<51°の領域には反射光が存在しない。そのため内側の虹の内側、外側の虹の外側の空間は白っぽく輝くが、二つの虹の間の空間は暗くなる。

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3.虹の観察

 風のない天気の良い日に霧吹きを持って屋外に出る。太陽を背にして黒っぽい壁の前に立ち、自分の頭の影の周りに霧吹きで霧を吹く。自分の頭の影を中心として下図のような虹が見える。このとき以下の事を見取って欲しい。

  1. 弧ABの虹の外側に弧CDの第二の薄い虹が見える。この外側の虹は内側の虹に比べて薄いので注意深く観察すること。
  2. 虹ABと虹CDでは赤→黄色→緑→青→紫の配列順が逆になっている。
  3. 虹ABの内側と、虹CDの外側の空間は白っぽく輝いている。
  4. 虹ABと虹CDの間の空間は上記3の部分に比べて暗く見える。

啓林館 「物理TB」教科書のカラーグラビアより

次の写真はBatelle天文台(アメリカ)にかかる虹であるが、前記注意事項3.と4.の状況がよく解る。


ケネス・R・ラング著「太陽」シュプリンガー・フェアラーク東京刊より

[2023年1月追記]
 本稿で取り上げた事柄は、ニュートンがその著書『光学』の中で明快に説明しています。本稿の図もほとんどが、『光学』の中の図を引用・改変したものです。
 このことは、前々から注記しておこうと思いながら延び延びになっていました。
 
ニュートンの『光学』は邦訳版があります。それが
 ニュートン著(渡辺正雄編、田中一郎訳)「科学の名著6.ニュートン 『光学』」朝日出版社(1981年刊)
です。これは光学について超有名な文献ですので、図書館で借りられてどうぞご覧になられて下さい。 

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