開平法の本質は以下の代数式展開ができるところにある。
(a+b+c+d+・・・・・・)2=(a+b+c+d+・・・・・・・)(a+b+c+d+・・・・・・・)
=a2+2ab+2ac+2ad+2ae+・・・・
+b2+2bc+2bd+2be+・・・・
+c2+2cd+2ce+・・・・
+d2+2de+・・・・
+e2+・・・・
=a2+b(2a+b)
+c{2(a+b)+c}
+d{2(a+b+c)+d}
+e{2(a+b+c+d)+e}
+・・・・・
このように展開できることは下図からも明らかである。
開平の筆算法はこの展開を利用したものである。例として125689の平方根を計算してみる。実際の手順はたいていの高校物理教科書の付録に記載されているのでそこを読んで下さい。
開平のメカニズムを拡張すると開立の筆算法が確立できる。開立法の本質は以下の代数式展開ができるところにある。
(a+b+c+d+・・・・・・)3=(a+b+c+d+・・・・・・・)(a+b+c+d+・・・・・・・)(a+b+c+d+・・・・・・・)
=a3+b(3a2+3ab+b2)
+c{3(a+b)2+3(a+b)c+c2}
+d{3(a+b+c)2+3(a+b+c)d+d2}
+e{3(a+b+c+d)2+3(a+b+c+d)e+e2}
+f{3(a+b+c+d+e)2+3(a+b+c+d+e)f+f2}
+・・・・・
このように展開できることは下図からも明らかである。
開立の筆算法はこの展開を利用したものである。例として31265287176.542の立方根を計算してみる。下図の四角括弧□の中に同じ数字が入る。例えば2段目の2791であるが3×302の部分が一番効いてくるので□に1を入れればよい。それを見つけるのはそんなに難しくない。3段目も3×3102の部分が一番効いてくるので□が5になることはたやすく見つかる。
3次元以上の立方体を想像するのは難しいが代数的な展開は4次、5次・・・いくらでも同様な展開ができるので、4乗根、5乗根、・・・・を筆算で求めるのは可能である。興味のある人は一考されたし。ただし4乗根は開平を2回、6乗根は開平と開立を行えば良い。
驚くべき事に、こういった方法で乗根を求める方法は紀元前に書かれた古代中国の算術書「九章算術 第四巻」の中にすでに紹介されている。
参考文献 朝日出版社刊 科学の名著2「中国天文学・数学集」P133−138