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6.ペットボトルで作った入場門とオブジェ(2002年)

 2リットル用のペットボトルは、とても軽い(1本65g)のに、その形を保つ大きな強度がある。しかも大量に手にはいる。(周南総合リサイクルに協力してもらい千本近くいただくことができた。そして、文化祭終了後に引き取ってもらってリサイクルしてもらうことができた。感謝!)
 二本のペットボトルの底を幅広のセロテープでつなぎ合わせたものは構造単位(2リットル用ペットボトル2本で130g)としてとても強固なものになる。これを単位としたトラス構造(節点がすべて回転自在の結合から成る構造)でつくることにした。

 しかし、トラスをキャップの部分でつないでいくのだが、ここのジョイント構造が脆弱で大きな構造物にすることができなかった。結局ジョイント部の構想が甘く、かなりの修正を余儀なくされた。写真で示すサッカーボールも当初は入場門の中央上部に設置する予定だったが、構造的に不可能なことがわかったので別々に作ることになった。また入場門自体も大幅に計画が縮小して、最後には垂木による補強が必要となった。

 文化祭企画で担任していたクラスが入場門を担当することになったが、当初はどんな物にするか色々悩みました。ペットボトルを使って何かできるのではないかということで、夏休み中からクラスの生徒が少しずつ協力しあって作り上げました。
 最初はジョイントの部分をどうするか試行錯誤の連続でした。結局2個のフタを紐で結んだ物を沢山つくり、それをいくつか捻って絡み合わせて4個、6個、8個のジョイント部を作ることにしたのだが、ここの脆弱性に最後まで悩まされた

 この年はワールドカップの開催年で是非サッカーボールを作ろうということになり、最初の案はサッカーボールを入場門の上に置く壮大な計画でした。しかし作っていく過程で、強度的に難しいことが解り、またペットボトルの数が膨大になるため、入場門の形も縮小を繰り返して写真の形に落ち着きました。そしてサッカーボールは入場門とは別に設置することになった。用いたペットボトル(2リットル容器)は入場門に530本、サッカーボールに420本です。作ってみて解ったのですが、ペットボトルはトラスの構造単位としては重すぎた。
 入場門の総重量は130g×530本=68900g〜69kgを越える。そのため門柱の下部にかかる圧力は40kg近い加重となりジョイント部の構造が脆弱のためにペットボトルだけでは支えられなくなった。これはサッカーボールについても同様で、その重量は55kgを越え下部に過大な加重がかかる。最初の予想に反してペットボトルは構造材料として意外と重いと言うことを思い知らされた。
 この当たりは簡単な計算をしてみれば解ることなのにそれを怠って、最初述べたペットボトルに関して感じている普段の感覚に惑わされた結果の失敗といえる。。

 サッカーボールについても、三角形の組み合わせでできる正20面体のようなものならトラス構造でその形を保つことができるが、正五角形や正方形を含むと12面体程度の小さなものでもトラス構造のみでその形を保つことはできない。その当たりもよく考えれば明らかなのだが、実際に作ってみると五角形や六角形の形が崩れてしまって改めて思い知らされた。

 結局内部に正20面体の芯を作りそれで形を保たせ、その周りに三角形の組み合わせで五角形と六角形を作り貼り付けていく形になりました。しかし、ジョイントに過大な負荷がかかり組み立て途中で何度も壊れてしまい、この面でも難しくて途中であきらめそうになりました。しかし生徒がよく頑張って、構造と設置方法を二転三転と変更して、やっと写真の形にくみ上げることができた。

 実際の製作日数は1週間程度でしたが試行錯誤の連続で何度もやり直したので時間が足りず、文化祭前々日と前日は夜の9時頃までかかりました。クラスのほとんどの生徒が遅くまで残り一生懸命作ったのですが、苦労したぶん作り上げた時の充実感は大きかったようです。生徒は本当に良い経験をしたようで、高校生活の良い思い出になったと思われる。

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